フローリングの上に見覚えのない細かい木の粉が落ちていたり、家具の表面に小さな穴が空いていたりしたら、それは「キクイムシ」の被害かもしれません。キクイムシは木材の内部を食い荒らす害虫で、放置すると家の構造材や大切な家具に深刻なダメージを与えます。
この記事では、キクイムシの生態と被害の見分け方、自分でできる駆除方法から業者に依頼すべきケースまで、木材を守るための情報を網羅的に解説します。

キクイムシとはどんな虫?種類と基本情報
キクイムシは甲虫の一種で、名前のとおり「木を食う虫」です。日本で住宅や家具に被害をもたらす代表的な種類は「ヒラタキクイムシ」です。
ヒラタキクイムシの特徴
成虫は体長3〜8mm程度の細長い甲虫で、赤褐色から暗褐色をしています。成虫自体は木材を食べず、木材の内部を食い荒らすのは幼虫です。幼虫は体長3〜5mmほどのイモムシ状で、白っぽい体をしています。
キクイムシのライフサイクル
メスの成虫は広葉樹の導管(水や養分を運ぶ管)に卵を産みつけます。孵化した幼虫は木材の内部を食べながら成長し、翌年の4〜8月頃に1〜2mm程度の小さな穴を開けて成虫として外に出てきます。このサイクルが毎年繰り返されるため、放置すると被害が拡大し続けます。
被害を受けやすい木材
ヒラタキクイムシはラワン、ナラ、ケヤキ、タモ、シオジなどの広葉樹を好みます。フローリング材、合板、家具(タンス、本棚、テーブルなど)、木製の柱や梁が被害対象になります。スギやヒノキなどの針葉樹には基本的に発生しません。
キクイムシとシロアリは混同されやすいですが、シロアリは木材の表面近くまで食い荒らすのに対し、キクイムシは内部に細いトンネルを掘って食害します。被害のパターンが異なるため、見分けのポイントにもなります。
キクイムシ被害の見つけ方
キクイムシは木材の内部に潜んでいるため、被害に気づきにくい害虫です。以下のサインに注意しましょう。
木の粉(フラス)が落ちている
床や家具の下にきめ細かい粉状の木くず(フラスと呼ばれます)が溜まっている場合は、キクイムシの被害を疑いましょう。フラスはサラサラした砂のような質感で、色は木材と同じ茶褐色です。
小さな穴が空いている
木材の表面に直径1〜2mm程度の小さな丸い穴が複数空いている場合は、成虫が木材内部から脱出した痕跡です。穴の数が多いほど、長期間にわたって被害が続いていることを意味します。
かじる音が聞こえる
静かな環境で耳を澄ませると、木材の内部から「ガリガリ」「ゴリゴリ」といった微かな音が聞こえることがあります。これは幼虫が木材を食べている音です。
木材の強度が落ちている
長期間被害を受けた木材は内部がスカスカになり、押すとへこんだり折れやすくなったりします。構造材がこの状態になると建物の安全性にも影響するため、早めの対処が必要です。

自分でできるキクイムシの駆除方法
被害の範囲が小さい場合は、自分で駆除に取り組むことも可能です。ただし、根気よく継続する必要があります。
エアゾール式殺虫剤を穴に注入する
キクイムシ用(木材害虫用)のエアゾール式殺虫剤を、脱出穴に細いノズルを差し込んで注入します。
穴のひとつひとつに薬剤を行き渡らせるのがポイントです。薬剤が穴の反対側から出てくるまでしっかり注入しましょう。
穴を塞いで経過を観察する
殺虫剤を注入した後は、木工用パテや爪楊枝で穴を塞ぎます。
その後も新しいフラス(木の粉)や穴が出ていないか、最低1年間は注意深く観察してください。新たな被害が見つかったら、再度処理を行います。
被害木材を交換する
被害がひどい場合は、その木材自体を取り除いて新しいものに交換するのが確実です。交換後の木材には防虫処理を施しておくと安心です。
くん煙剤を使う場合の注意点
くん煙剤(バルサンなど)は室内を飛び回る成虫には効果がありますが、木材の内部に潜む幼虫には薬剤が届きにくいため、根本的な駆除には不十分です。成虫の発生時期(4〜8月)に補助的に使用する程度にとどめましょう。
専門業者に依頼すべきケース
以下のような場合は、害虫駆除の専門業者に相談することをおすすめします。
- 被害が複数箇所や広範囲に及んでいる
- 構造材(柱、梁、土台など)に被害がある
- 自分で駆除しても毎年被害が再発する
- 被害の範囲や程度を正確に把握したい
業者に依頼する場合の費用は被害の規模によって異なりますが、一般的な住宅での施工であれば数万円〜十数万円程度が目安です。複数の業者から見積もりを取って比較検討しましょう。
見積もりを集める窓口のひとつとして、害虫駆除110番もあります。対応できる提携業者を紹介してくれるサービスで、電話は24時間365日・通話無料。相見積もり歓迎で、見積もり後のキャンセルもできると案内されています。キクイムシは料金表にない「その他」の扱いなので、対応できるかは問い合わせのときに確認しましょう。詳しくは公式サイトで確認できます。

構造材に被害がある場合は、建物の強度に関わる問題です。早めに専門業者や建築士に相談し、必要に応じて木材の補修・交換を検討してください。
キクイムシの予防対策
一度駆除に成功しても、予防策を講じなければ再び被害を受ける可能性があります。日頃から以下の対策を心がけましょう。
室内の湿度を管理する
キクイムシは湿度の高い環境を好みます。室内の湿度を60%以下に保つことを意識し、除湿機やエアコンの除湿機能を活用しましょう。梅雨の時期は特に注意が必要です。
木材に防虫塗料を塗る
フローリングや家具の表面にニスやワックスなどの塗膜を施しておくと、成虫が産卵しにくくなります。特に合板の切断面(導管が露出している部分)を塗料で覆うことが効果的です。
購入時に防虫処理済みの木材を選ぶ
家具やフローリング材を購入する際は、防虫処理(加熱処理や薬剤処理)が施された製品を選ぶと被害を予防できます。輸入合板を使用する場合は、特に注意が必要です。
定期的に点検する
年に1〜2回、フローリングの下やクローゼットの中、家具の裏側などを確認する習慣をつけましょう。特に4〜8月の成虫発生期には、木の粉や穴がないか入念にチェックしてください。
新しい木材や家具を持ち込むときの注意
中古の家具やアンティーク家具、海外から輸入された木製品などは、すでにキクイムシの卵や幼虫が潜んでいる可能性があります。購入前に穴やフラスがないか確認し、気になる場合は防虫スプレーを塗布してから室内に持ち込むのが安全です。




💡 キクイムシと同様に住宅の木材を好むゴキブリの対策も、あわせて進めておくのがおすすめです。ゴキブリ駆除グッズの種類や使い方をこちらの記事でまとめています。



💡 キクイムシに限らず、住宅で発生しやすい害虫の駆除グッズを害虫別にまとめた一覧ページもあります。家全体の害虫対策を見直す際にぜひご活用ください。



キクイムシの駆除にかかる費用の目安
専門業者にキクイムシの駆除を依頼する場合、費用は被害の範囲や施工方法によって異なります。局所的な処理であれば数万円程度、広範囲の薬剤処理や木材交換が必要な場合は十数万円以上かかることもあります。
見積もりの際は、被害範囲の調査をしっかり行ってくれるか、施工後の保証があるかを確認しましょう。キクイムシは翌年以降に再発することもあるため、保証期間の長い業者を選ぶと安心です。
キクイムシに関するよくある質問
Q. キクイムシは人を刺しますか?
キクイムシは人を刺したり咬んだりすることはありません。人体への直接的な害はなく、あくまで木材に対する害虫です。ただし、大量のフラス(木の粉)がアレルギーの原因になる可能性はゼロではないため、こまめに掃除しましょう。
Q. シロアリの被害とどう見分ければいいですか?
キクイムシの被害は直径1〜2mmの丸い穴とサラサラした粉状のフラスが特徴です。一方、シロアリの被害は木材の表面が薄くなったり、内部が空洞化したりする形で現れ、フラスよりも粒の大きい木くずや土のようなもの(蟻道)が見られます。
Q. 新築でもキクイムシの被害は出ますか?
新築でも被害が出ることがあります。建材として使われた合板やフローリング材にすでに卵や幼虫が入り込んでいた場合、入居後に被害が発覚するケースがあります。施工業者に防虫処理の有無を確認しておくと安心です。
Q. キクイムシが発生する季節はいつですか?
成虫が木材から出てくるのは主に4〜8月で、特に5〜6月がピークです。この時期にフローリングや家具の周りに木の粉が落ちていないか、新しい穴が空いていないかを重点的にチェックしましょう。冬場は幼虫が木材内部で静かに成長しているため、外見上の変化は少ないです。
Q. キクイムシの被害を放置するとどうなりますか?
放置すると毎年新しい成虫が卵を産み、世代を重ねるごとに被害箇所が増えていきます。フローリングであれば踏み抜きの危険が生じ、構造材であれば建物の強度低下につながる場合もあります。被害に気づいたら、早い段階で対処することが結果的にコストも少なく済みます。
まとめ
キクイムシは木材の内部を食い荒らす害虫で、フローリングや家具、場合によっては構造材にまで被害を及ぼします。床に細かい木の粉が落ちている、木材に小さな穴が空いている場合は、キクイムシの被害を疑いましょう。
軽度の被害であれば、エアゾール式殺虫剤の穴への注入で対処できますが、広範囲の被害や構造材への食害は専門業者に依頼するのが確実です。予防策として、室内の湿度管理、木材への防虫塗料の塗布、定期的な点検を心がけてください。
キクイムシは目に見えにくい場所で被害が進行するため、早期発見・早期対処が何より大切です。木の粉や小さな穴に気づいたら、放置せずにすぐ行動を起こしましょう。日頃の湿度管理と定期的な点検を習慣にして、大切な家と家具を守ってください。
参考:害虫駆除サービス「キクイムシの生態や駆除方法を専門業者が徹底解説」、生活110番「その木くずに注意!木材を食べ尽くすキクイムシの駆除と予防方法」、吉田製油所「キクイムシ・シバンムシ基本情報」



