「夕方になると家の周りをコウモリが飛び回っている」「雨戸の隙間や換気口にコウモリが住み着いてしまった」──日本の住宅で被害を起こすコウモリのほとんどは「アブラコウモリ(イエコウモリ)」という種類で、人家を好んで棲みかにする習性があります。
コウモリ駆除は害獣駆除の中でも比較的DIYで対応しやすい部類に入りますが、鳥獣保護法の制約があるため正しい知識が必要です。この記事では、自分でコウモリを駆除(追い出し)するための具体的な手順、必要な道具、封鎖の方法、そして法律上の注意点まで、実践的な情報をお伝えします。

コウモリ駆除の前に知っておくべきこと
法律上の注意点
コウモリは鳥獣保護法で保護されている動物です。そのため、捕獲や殺傷は許可なしでは違法となります。自分でできるのは「追い出し」と「侵入経路の封鎖」のみで、これらは法律上問題ありません。
やってはいけないこと:
- 素手で掴んで捕まえる(捕獲に該当)
- 粘着シートで捕獲する
- 殺虫剤を直接噴射して殺す
- 巣ごと撤去して処分する(中にコウモリがいる場合)
やっても良いこと:
- 忌避剤で追い出す
- 光や超音波で追い出す
- コウモリが外出中に侵入口を塞ぐ
- フンの清掃
駆除に適した時期
コウモリ駆除には適した時期とそうでない時期があります。
| 時期 | 駆除の適否 | 理由 |
|---|---|---|
| 4〜5月 | ◎ 最適 | 活動開始期で個体数が少ない |
| 6〜8月 | △ 注意 | 出産・子育て期。飛べない幼獣がいる可能性 |
| 9〜10月 | ◎ 最適 | 子育て終了後で追い出しやすい |
| 11〜3月 | × 不向き | 冬眠期。追い出しても反応が鈍い |
最も適しているのは4〜5月と9〜10月です。6〜8月の子育て期に追い出しを行うと、飛べない幼獣が取り残されて死んでしまう恐れがあるため避けるべきです。追い出し後のフン掃除の方法については以下の記事で安全な手順を解説しています。

冬眠中のコウモリに忌避剤を使っても、動きが鈍いため反応しないことがあります。冬場に作業する場合は、コウモリが不在であることを確認したうえで封鎖のみ行うのが現実的です。
自分でコウモリを追い出す方法
コウモリを自分で追い出すには、以下の方法を組み合わせて実施します。
方法1:忌避スプレーを使う
最も手軽で効果的な方法が、コウモリ用の忌避スプレーを使うことです。ホームセンターやネット通販で「コウモリ忌避スプレー」として販売されています。
主な有効成分:
- ハッカ油(メントール):コウモリが嫌がる刺激臭
- 唐辛子成分(カプサイシン):粘膜を刺激する
使い方:
- コウモリがいる場所を特定する
- 夕方、コウモリが外出する直前(日没前後)にスプレーを噴射
- スプレー後、コウモリが出て行ったら侵入口を封鎖
スプレーの効果時間は製品によって異なりますが、数時間〜半日程度が一般的です。1回で出て行かない場合は、2〜3日連続で実施してみましょう。
方法2:ハッカ油を自作スプレーにする
市販のスプレーが手に入りにくい場合は、ハッカ油を使って自作できます。
材料:
- ハッカ油:20〜30滴
- 無水エタノール:10ml
- 水:90ml
- スプレーボトル
無水エタノールにハッカ油を混ぜてから水を加えると、油が均一に混ざります。これをコウモリの棲みかに噴霧します。
方法3:くん煙剤(煙タイプ)を使う
屋根裏など広い空間にコウモリがいる場合は、くん煙タイプの忌避剤が効果的です。煙が広範囲に行き渡るため、スプレーが届かない場所にも効果を発揮します。
くん煙タイプは屋根裏の広さに合わせて容量を選びます。使用中は火災報知器へのカバーが必要な製品もあるため、説明書を確認してから使ってください。
方法4:強い光で追い出す
コウモリは暗い場所を好むため、棲みかを明るく照らすことで居心地を悪くできます。投光器やLEDライトを使って24時間照射し続けると、数日で退去するケースがあります。
方法5:ジェルタイプの忌避剤
コウモリが止まる場所にジェル状の忌避剤を塗布する方法もあります。ジェルの臭いと感触を嫌がって寄り付かなくなります。効果が1〜2ヶ月持続するタイプもあり、スプレーより長期間の効果が期待できます。


侵入経路の封鎖方法
コウモリを追い出した後は、再侵入を防ぐために侵入口を完全に封鎖します。ここが最も重要な工程です。
コウモリの侵入口になりやすい場所
アブラコウモリは1〜2cmの隙間があれば侵入可能です。体が非常に柔軟で、指一本分程度の隙間でも入り込めます。
- 瓦の隙間・ズレ
- 軒天と壁の接合部
- 換気口・通気口のカバーの隙間
- 雨戸の戸袋
- シャッターボックスの隙間
- 外壁のひび割れ
- エアコン配管の引き込み口
- 屋根の棟板金の隙間
封鎖に使用する材料
| 材料 | 適した場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| パンチングメタル | 換気口・通気口 | 通気性を保ちつつ侵入を防げる |
| 金網(目の細かいもの) | 広い開口部 | 安価で加工しやすい |
| コーキング材 | 小さな隙間・ひび割れ | 柔軟性があり防水性も高い |
| パテ | 配管周りの隙間 | 形状に合わせて充填できる |
| 防鳥ネット | 軒下・ベランダ | 広範囲をカバーできる |
換気口や通気口は、通気を確保したまま塞げるパンチングメタルが使いやすい部分です。ビスで固定できる厚みのものを選ぶと外れにくくなります。
封鎖作業の手順
- 日没後にコウモリが外出したことを確認する
- 確認方法:侵入口に粉(小麦粉)を撒いて足跡をチェック、または目視で飛び立つのを確認
- コウモリ不在を確認したら、速やかに侵入口を封鎖する
- 封鎖後、翌日以降にコウモリが戻ってきて入れずに周りをうろつくか観察して確認
- 他に侵入口がないか、建物全体を再チェック
封鎖作業は必ず「コウモリが外出中」に行ってください。中に閉じ込めると、出られなくなったコウモリが室内側に入り込んできたり、そのまま死んで腐敗臭の原因になったりします。
💡 コウモリの侵入口として多い換気口や瓦の隙間は、ムカデやゲジゲジの通り道にもなりがちです。封鎖作業のタイミングでムカデ対策グッズも設置しておくと、害虫の侵入も同時に防げます。



必要な道具リスト
コウモリ駆除を自分で行う際に準備すべきものをまとめました。
- コウモリ忌避スプレー(またはハッカ油自作スプレー)
- マスク(粉塵やフンの粒子を防ぐため)
- ゴーグル
- 手袋(厚手のゴム手袋)
- 懐中電灯またはヘッドライト
- 脚立(高所作業用)
- コーキングガン+コーキング材
- 金網またはパンチングメタル
- ビス・インパクトドライバー(金網の固定用)
- ゴミ袋(フン清掃用)
フンの清掃と高所作業では、粉じん用マスクとゴーグルがセットになったものを用意しておくと、装備をそろえる手間が省けます。
作業の注意点と安全対策
高所作業の安全確保
コウモリの侵入口は屋根付近の高所にあることが多いです。脚立やはしごを使う際は、必ず安定した場所に設置し、可能であれば補助者に支えてもらいましょう。2階以上の高所作業は落下のリスクがあるため、無理をせず業者に依頼することも検討してください。害獣駆除業者の選び方や費用相場については以下の記事で詳しくまとめています。



直接触れない
コウモリは狂犬病ウイルスの保有動物として知られています(日本国内での感染事例は極めて稀ですが)。また、噛まれたり引っかかれたりすると感染症のリスクがあるため、絶対に素手で触らないでください。
フンの取り扱い
コウモリのフンにはカビ菌(ヒストプラズマ菌)が含まれている可能性があります。乾燥したフンが粉塵となって吸い込むと呼吸器疾患を引き起こすリスクがあるため、必ずマスクを着用して作業してください。


💡 コウモリのフン被害がある場所では、ゴキブリやコバエも発生しやすくなります。フンの清掃後に駆除グッズを設置しておくことで、二次的な害虫被害を予防できます。



自分でやるか業者に頼むかの判断基準
以下の条件に当てはまる場合は、自分での対応が可能です。
- 侵入口が1〜2箇所と少ない
- 侵入口が手の届く高さにある
- コウモリの数が少数(数匹程度)
- 被害が軽微(フンが少量)
逆に、以下のような場合は業者への依頼を検討しましょう。
- 侵入口が高所で作業が危険
- 侵入口が多数あり特定しきれない
- コウモリが大量に住み着いている(数十匹以上)
- 屋根裏がフンで大量に汚染されている
- 子育て期で幼獣がいる可能性がある
業者に依頼した場合の費用目安は、追い出し+封鎖で3万〜10万円程度です。
侵入口が高所にあったり数が多かったりして自分での封鎖が難しいなら、害獣プロテックという選択肢もあります。リフォーム会社が母体で、住宅の構造を踏まえて侵入口をふさぐ害獣対策工事に力を入れており、コウモリも対象です。相談・現地調査・見積もりは無料なので、まず費用を知りたいときにも使えます。関東・関西・東海・北陸など対応エリアが限られるため、詳しくは公式サイトで確認できます。



よくある質問(Q&A)
Q. コウモリは1匹だけ追い出せば終わりですか?
アブラコウモリは群れで生活することが多く、1匹見つかれば複数匹いることが一般的です。雨戸の戸袋などに数匹〜数十匹が棲み着くケースもあるため、「1匹追い出して終わり」ではなく、すべてのコウモリが外出したことを確認してから封鎖する必要があります。
Q. 忌避スプレーの効果はどのくらい持続しますか?
スプレータイプは数時間〜半日程度です。ジェルタイプは1〜2ヶ月程度効果が持続します。ただし、忌避剤は追い出しの補助手段であり、根本的な解決は侵入経路の封鎖です。封鎖が完了すれば忌避剤は不要になります。
Q. コウモリが1匹だけ部屋に入ってきた場合はどうすれば?
窓を開けて部屋を暗くし、外の光に向かって自然に飛び出すのを待ちましょう。追い回すとパニックになって余計に飛び回ります。出て行かない場合は、厚手の布やタオルをそっとかぶせて窓から外に放してください(手袋着用必須)。
Q. 超音波装置はコウモリに効果がありますか?
コウモリは超音波を使って飛行する動物であるため、超音波装置に対する感受性は高いです。ただし、製品によって効果にばらつきがあり、慣れてしまうケースも報告されています。補助的な手段としては使えますが、これだけで完全に追い出せるとは限りません。
Q. コウモリを追い出したら他の場所に住み着きませんか?
追い出されたコウモリは別の棲みかを探します。近隣の住宅に移動する可能性はありますが、それは自分の住宅の侵入経路を封鎖していれば戻ってくることはありません。気になる場合は、近隣にもコウモリ対策を勧めると良いでしょう。
参考:環境省 鳥獣保護管理 / 厚生労働省 動物由来感染症
💡 コウモリ対策が一段落したら、家全体の害虫対策も併せて見直してみてはいかがでしょうか。害虫の種類別におすすめの駆除グッズを一覧にしていますので、総合的な対策の参考にしてみてください。



まとめ:コウモリ駆除は「追い出し+封鎖」が基本
コウモリ駆除を自分で行う場合、やるべきことは大きく2つ──忌避スプレーやくん煙剤で追い出すことと、侵入経路を完全に封鎖することです。鳥獣保護法により捕獲や殺傷はできませんが、この「追い出し+封鎖」の流れであれば法律上も問題ありません。
作業のポイントは、コウモリが外出している夕方以降に実施すること、そしてアブラコウモリは1〜2cmの隙間でも侵入できるため、建物全体の隙間を見逃さず塞ぐことです。時期としては4〜5月か9〜10月が最適で、子育て期や冬眠期は避けましょう。
ただし、侵入口が高所にある場合や大量のコウモリが棲み着いている場合は、無理をせず専門業者に依頼するのが安全です。まずは自分の状況を確認し、対応可能な範囲で作業を進めてみてください。



