家の中で尻尾にハサミのような突起がある虫を見つけて、びっくりした経験はないでしょうか。それは「ハサミムシ」です。一見すると不気味な見た目ですが、実は人に害を与えることはほとんどなく、むしろ他の害虫を食べてくれる益虫としての側面も持っています。
とはいえ、家の中に虫がいるのは不快なもの。この記事では、ハサミムシの正体、家に入ってくる原因、駆除方法、そして侵入を防ぐための対策について詳しく解説します。

ハサミムシとはどんな虫?
ハサミムシはハサミムシ目(革翅目)に属する昆虫で、世界に約2,000種、日本国内にも30種以上が生息しています。住宅周辺で見かけるのは主に「コバネハサミムシ」や「ヒゲジロハサミムシ」などです。
見た目の特徴
体長は種類によって異なりますが、日本で一般的な種では15〜25mm程度です。細長い体で、腹部の先端に一対のハサミ状の突起(尾鋏・びきょう)を持っているのが最大の特徴です。体色は黒褐色から赤褐色で、平たい体をしています。
ハサミの役割
ハサミは獲物を捕らえる、敵から身を守る、交尾時のアピール、翅をたたむ際の補助などに使われます。人間がつまんだりすると防御のためにハサミで挟んでくることがありますが、痛みは軽く、毒も持っていないため健康への影響はありません。
何を食べているのか
ハサミムシは雑食性で、小さな昆虫やダニ、アブラムシなどの害虫を捕食する一方で、落ち葉や花びら、腐った植物質なども食べます。庭の害虫を食べてくれる益虫としての働きも持っています。
生態上の特徴
ハサミムシは夜行性で、昼間は石の下、落ち葉の中、プランターの下、植木鉢の底など暗くて湿った場所に隠れています。一部の種のメスは卵や幼虫を世話する「母性行動」を見せることでも知られています。
ハサミムシは毒を持たず、人を刺すこともありません。ただし、素手で触ろうとするとハサミで挟んでくることがあるため、見つけた場合は直接触れずに対処しましょう。
とはいえ、素手で触らずに捕まえるのは意外と難しいものです。長めのトングタイプの捕獲器があると、距離を保ったまま外へ逃がせます。
ハサミムシが家の中に入ってくる原因
本来は屋外で暮らす虫ですが、いくつかの理由で室内に侵入してくることがあります。
光に引き寄せられる
ハサミムシの一部の種は灯火に集まる習性があり、夜間に窓の明かりに引き寄せられて室内に入ってくることがあります。
湿気を求めて侵入する
ハサミムシは乾燥に弱く、湿度の高い場所を好むため、乾燥した屋外から湿気のある浴室や洗面所、台所に入り込むことがあります。
建物の隙間から侵入する
玄関ドアの隙間、窓のサッシの隙間、排水口、配管の貫通部などから侵入します。ハサミムシは扁平な体をしているため、わずかな隙間でも通り抜けることができます。
家の周辺に生息環境がある
庭に落ち葉が溜まっている、プランターを多く置いている、芝生がある、石や木材が積まれているなど、建物の周辺にハサミムシが好む環境があると、室内への侵入リスクが高まります。

家の中でハサミムシを見つけたときの駆除方法
ハサミムシは害虫とは言い難い存在ですが、家の中にいるのが気になる場合は以下の方法で駆除・除去しましょう。
捕まえて外に逃がす
最もシンプルな方法は、新聞紙や紙を丸めてすくい取り、屋外に逃がしてあげることです。ハサミムシは庭では害虫を食べてくれる益虫なので、殺さずに外に出すのがおすすめです。
粘着トラップを設置する
ハサミムシがよく出没する場所に、ゴキブリ用の粘着トラップを設置しておくと捕獲できます。
浴室の入口や洗面所周辺、窓際などに置くと効果的です。
殺虫スプレーを使う
ピレスロイド系の殺虫スプレーで直接噴射すれば駆除できます。ただし、ハサミムシは人を襲わない虫であることを考えると、殺虫剤の使用は最小限にとどめるのが望ましいです。
くん煙剤で広範囲に対処する
室内の複数箇所でハサミムシを頻繁に見かける場合は、バルサンなどのくん煙剤を使って一度に駆除する方法もあります。隠れている個体にも薬剤が届くため、効率的に数を減らせます。
ハサミムシを家に入れないための予防対策
駆除よりも重要なのは、そもそもハサミムシが室内に入ってこない環境を作ることです。
家の外周に粒状の忌避剤をまく
建物の基礎部分に沿って帯状に不快害虫用の粒剤を散布する方法が効果的です。
ハサミムシだけでなく、ムカデやヤスデなどの侵入防止にも役立ちます。雨で流れるため、定期的にまき直す必要があります。
粒剤をまいてもムカデやヤスデまで家に入ってきて手に負えないなら、害虫駆除110番に相談する方法もあります。対応できる提携業者を紹介してくれるサービスで、電話は24時間365日・通話無料。料金の目安はムカデ11,000円〜、ヤスデ22,000円〜(税込)と公式に表示されています。ハサミムシ自体は料金表にないので、対応できるかは問い合わせのときに確認しましょう。

隙間を塞ぐ
玄関ドアの下部にすきまテープを貼る、窓のサッシの隙間をコーキングする、排水口にフィルターを設置するなど、侵入経路をできるだけ塞ぎましょう。
室内の湿度を管理する
浴室やトイレ、洗面所はこまめに換気扇を回し、室内の湿気がこもらないようにします。水道の蛇口や排水管からの水漏れも点検し、不要な水たまりをなくしましょう。
家の周辺環境を整える
庭の落ち葉を定期的に掃除し、不要な石や木材の山を片付けます。プランターの下も湿気が溜まりやすいため、定期的に移動させて乾燥させましょう。建物の壁際に物を密着させないことで、通気性を確保できます。
夜間の照明を工夫する
玄関灯やベランダの照明にLED電球を使用すると、虫が集まりにくくなります。ハサミムシを含む多くの昆虫は紫外線に誘引されるため、紫外線の少ないLED照明への交換が有効です。
排水溝や側溝を定期的に清掃する
ハサミムシは排水溝や側溝に多く生息しています。家の周囲の排水溝に落ち葉やゴミが溜まっていると、湿気がこもってハサミムシの住みかになります。定期的に清掃して水はけを良くし、乾燥した状態を維持することで、家の周りの個体数を減らすことができます。


💡 ハサミムシと同じように庭の石の下や側溝に潜んでいる害虫として、ムカデやゲジゲジがいます。ムカデ・ゲジゲジ対策グッズのおすすめをこちらの記事で紹介していますので、外周の害虫対策にお役立てください。



💡 家の外周に忌避剤をまく際は、ゴキブリの侵入予防も一緒に行うと効率的です。おすすめのゴキブリ駆除グッズをこちらの記事でまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。



💡 ハサミムシを含め、住宅で見かけることがある害虫はさまざまです。害虫の種類ごとのおすすめ駆除グッズを一覧でまとめたガイドがありますので、まとめて対策を検討される際に便利です。



ハサミムシの種類と特徴
日本で住宅周辺に出没するハサミムシにはいくつかの種類があります。代表的なものを紹介します。
コバネハサミムシ
体長15〜20mm程度で、日本全国に広く分布しています。翅が退化して短く、飛ぶことはできません。庭の石の下や落ち葉の中に多く見られ、住宅への侵入報告が最も多い種類です。
ヒゲジロハサミムシ
体長20〜25mm程度とやや大型で、触角の先端が白いのが特徴です。海岸付近から内陸部まで広く生息し、農地周辺でも見かけることがあります。
オオハサミムシ
体長30mm前後に達する大型種で、そのぶんハサミも大きく見た目のインパクトが強いです。砂地や畑の土中に巣を作ることが多く、住宅内に入ってくることは比較的少ないですが、庭で見かけることはあります。
ハサミムシに関するよくある質問
Q. ハサミムシに挟まれたら危険ですか?
ハサミムシに挟まれても、軽いつねられるような痛みがある程度で、毒はありません。傷口は水で洗って清潔にしておけば問題ありません。ただし、素手で触るのは避け、紙や道具を使って対処しましょう。
Q. ハサミムシは耳に入ってくるって本当ですか?
英語名が「Earwig(耳の虫)」であるため、耳に入り込むという俗説がありますが、科学的根拠はありません。ハサミムシが意図的に人の耳に入ることはまずないと考えてよいでしょう。
Q. ハサミムシは益虫なのに駆除すべきですか?
庭にいるハサミムシはアブラムシやダニなどの害虫を食べてくれるため、あえて駆除する必要はありません。室内に入ってきた場合は外に逃がし、侵入を防ぐ対策を重点的に行うのがバランスの良いアプローチです。
Q. ハサミムシが大量発生している場合はどうすればいいですか?
庭で大量発生している場合は、家の外周への粒剤散布と庭の環境整備(落ち葉や石の撤去、排水溝の清掃など)が効果的です。建物内に大量に入ってくるようであれば、侵入経路の特定と封鎖を優先的に行いましょう。


Q. ハサミムシが家の中で繁殖することはありますか?
ハサミムシは基本的に屋外で繁殖する虫であり、室内で巣を作って繁殖するケースはまれです。家の中で見かけるのは、外から迷い込んだ個体がほとんどです。侵入経路を塞ぎ、室内の湿度を適切に管理していれば、継続的に室内で見かけることは少なくなります。
Q. 家庭菜園にハサミムシがいるのは問題ですか?
家庭菜園にハサミムシがいる場合、基本的にはアブラムシなどの害虫を食べてくれるため益虫として歓迎できます。ただし、まれに花びらや柔らかい葉、イチゴなどの果実をかじることもあるため、被害が目立つ場合は粘着トラップで数を管理するのがよいでしょう。
まとめ
ハサミムシは尾部のハサミが特徴的な虫ですが、毒は持っておらず人を刺すこともない、基本的には無害な昆虫です。むしろ害虫を捕食してくれる益虫としての側面もあるため、庭にいる場合は駆除の必要はありません。
家の中に入ってきた場合は、紙ですくって外に逃がすのが最も穏やかな方法です。侵入を防ぐためには、建物の外周への粒剤散布、隙間の封鎖、室内の湿度管理、庭の環境整備が有効です。見た目の不快さに惑わされず、正しい知識を持って冷静に対処しましょう。
ハサミムシとの上手な付き合い方は「庭では放っておく、家には入れない」というシンプルなルールです。見た目の不快さだけで過剰に駆除するよりも、侵入防止に重点を置いたアプローチのほうが合理的で、庭の生態系にとっても好ましい方法です。正しい知識で冷静に対応しましょう。
参考:フマキラー「ハサミムシの駆除方法を解説。家への侵入経路と侵入させない対策は?」、環境コントロールセンター「ハサミムシ」、田舎センセイ「ハサミムシに毒や害はある?」



