家の床がぶかぶかする、柱を叩くと空洞のような音がする――そんな症状があれば、シロアリ被害の可能性があります。日本で住宅被害を引き起こすシロアリは主に「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」の2種類です。この2種類はそれぞれ習性や被害の広がり方が大きく異なるため、見分け方を知っておくことが適切な対策への第一歩になります。
この記事では、ヤマトシロアリとイエシロアリの特徴・見た目の違い・被害の傾向・見分け方のポイントまで、表を交えて詳しく解説していきます。
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日本には約20種類以上のシロアリが生息していますが、住宅に実害を与えるのは主にヤマトシロアリとイエシロアリの2種です。近年はアメリカカンザイシロアリなど外来種の被害も報告されていますが、被害件数の大半はこの2種が占めています。
| 項目 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ |
|---|---|---|
| 分布域 | 北海道北部を除く日本全土 | 関東以西の温暖な沿岸部が中心 |
| コロニー規模 | 数千〜数万頭 | 数万〜100万頭以上 |
| 被害の範囲 | 湿った木材に限定されやすい | 建物全体に及ぶことがある |
| 加害スピード | 比較的緩やか | 非常に速い |
| 水分の確保 | 湿った木材から得る | 自ら水を運ぶ能力がある |

ヤマトシロアリの特徴
ヤマトシロアリは、日本でもっとも広い範囲に分布するシロアリです。北海道北部を除くほぼ全域に生息しており、住宅被害の報告件数が最も多い種類でもあります。
生態と行動パターン
ヤマトシロアリは湿った木材を好んで食害します。建物においては風呂場や台所など水回りの床下材が主なターゲットです。乾燥した木材はあまり食べず、水分を含んだ腐朽しかけた木材に集中して被害を与えます。
コロニーの規模は数千〜数万頭程度と比較的小さく、特定の巣を作らずに加害した木材の中にそのまま生活するのが特徴です。このため「巣=加害場所」であることが多く、被害箇所を特定しやすい傾向があります。
羽アリの特徴
ヤマトシロアリの羽アリは、4月から5月の温暖な日の午前中から昼過ぎにかけて群飛(スウォーミング)します。体色は黒褐色で、翅は淡い黒褐色〜半透明です。雨上がりの蒸し暑い日に大量発生しやすく、窓辺や玄関付近で発見されることが多いです。
イエシロアリの特徴
イエシロアリは、ヤマトシロアリと比べて被害の規模と進行スピードが桁違いに大きい、非常に危険なシロアリです。関東以西の温暖な沿岸地域を中心に分布しています。
生態と行動パターン
イエシロアリの最大の特徴は、「自ら水を運ぶ能力」を持っていることです。ヤマトシロアリが湿った木材にしか被害を与えないのに対し、イエシロアリは乾燥した木材にも水分を供給しながら食害します。そのため、被害が建物の1階だけでなく2階や屋根裏にまで及ぶことがあります。
コロニーの規模も非常に大きく、女王のいる本巣のほかに複数の分巣を持ち、全体で5万〜100万頭以上の大集団を形成します。地中や建物の壁の中に直径30cm〜1m以上の巣を作ることもあり、駆除の難易度が高いのが現実です。
羽アリの特徴
イエシロアリの羽アリは、6月から7月の蒸し暑い日の夕方から夜間にかけて群飛します。ヤマトシロアリとは異なり、光(特に蛍光灯などの青白い光)に強く誘引される性質があります。体色は黄褐色で、翅は淡い黄褐色〜半透明です。街灯や窓の明かりに大量に集まる光景を目にしたら、イエシロアリの可能性を疑ってください。

ヤマトシロアリとイエシロアリの見分け方
実際にシロアリを発見した場合、どちらの種類なのかを見分けることが適切な対策の出発点になります。主な見分けポイントを3つご紹介します。
見分け方1:羽アリの飛ぶ時期と時間帯
| 項目 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ |
|---|---|---|
| 群飛時期 | 4月〜5月 | 6月〜7月 |
| 飛ぶ時間帯 | 午前〜昼過ぎ(日中) | 夕方〜夜間 |
| 光への反応 | あまり集まらない | 強く集まる |
| 天候条件 | 雨上がりの暖かい日 | 蒸し暑い日 |
見分け方2:兵蟻(兵隊アリ)の頭の形
木材を壊したときに出てくるシロアリの中に、頭が大きく発達した個体がいればそれが兵蟻です。兵蟻の頭の形は種類の特定に非常に役立ちます。
- ヤマトシロアリの兵蟻:頭部が細長い長方形で、体に対して頭が大きい(いわゆる「頭でっかち」)
- イエシロアリの兵蟻:頭部が卵型〜三角形で、ヤマトシロアリに比べて胴長に見える
また、イエシロアリの兵蟻は刺激すると頭部から乳白色の液体(防御用分泌物)を出すことがあります。この行動はヤマトシロアリの兵蟻には見られない特徴です。
見分け方3:被害の場所と範囲
被害の出方からも、どちらのシロアリかをある程度推測できます。
- 水回り周辺の床下材に限定的な被害→ヤマトシロアリの可能性が高い
- 1階だけでなく2階や天井裏にまで被害が拡大→イエシロアリの可能性が高い
- 壁の中や地中に大きな塊状の巣がある→イエシロアリの可能性が高い
素人判断で種類を特定するのは難しい場合もあります。シロアリの疑いがある場合は、公益社団法人日本しろあり対策協会の会員業者など、専門の駆除業者に点検を依頼することをおすすめします。プロによる調査は無料で実施している業者も多く、正確な種類の特定と適切な駆除プランの提案を受けられます。
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害虫駆除110番の公式サイトはこちらそれぞれの駆除方法の違い
ヤマトシロアリとイエシロアリでは、効果的な駆除方法にも違いがあります。
ヤマトシロアリの駆除
ヤマトシロアリは巣と加害場所が一致しているケースが多いため、被害箇所とその周辺に薬剤を散布する「バリア工法」が主に用いられます。床下への薬剤散布や木部への注入処理によって、比較的短期間で駆除できることが多いです。
イエシロアリの駆除
イエシロアリはコロニーが巨大で、本巣と複数の分巣が広範囲に広がっているため、バリア工法だけでは根絶が難しいケースがあります。そのため、毒餌(ベイト)を用いてコロニーごと駆除する「ベイト工法」が効果的です。ベイト工法はシロアリの習性を利用して毒餌を巣に持ち帰らせ、コロニー全体を壊滅させる方法です。
| 項目 | バリア工法 | ベイト工法 |
|---|---|---|
| 方法 | 薬剤を床下や木部に散布・注入 | 毒餌を設置し巣に持ち帰らせる |
| 効果の範囲 | 処理した箇所とその周辺 | コロニー全体 |
| 即効性 | 高い | 効果が出るまで数週間〜数カ月 |
| 向いている種類 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ(ヤマトシロアリにも有効) |
| 費用相場 | 5,000〜10,000円/坪 | 15万〜30万円程度(建物全体) |

シロアリ被害を予防するためにできること
シロアリ被害を防ぐためには、日頃からの環境整備が欠かせません。以下の対策を心がけましょう。
床下の換気と湿気対策
シロアリ(特にヤマトシロアリ)は湿気を好みます。床下の通気口がふさがっていないか確認し、必要に応じて換気扇や調湿材の設置を検討してください。
木材を地面に直接置かない
庭に放置した木材、ウッドデッキの残材、段ボールなどはシロアリの格好の餌場になります。不要な木材は処分し、やむを得ず保管する場合はコンクリートやブロックの上に置くようにしましょう。
定期的な点検
シロアリ予防のために5年に1度の定期点検と防蟻処理を受けることが推奨されています。多くの駆除業者が5年保証を提供しており、保証期間に合わせて再処理を行うのが理想です。アース害虫駆除なんでも事典のシロアリ情報も参考にしてください。
よくある質問(Q&A)
Q. シロアリの羽アリと普通のアリの羽アリの違いは何ですか?
A. シロアリの羽アリは4枚の翅がすべて同じ大きさで、胴体にくびれがないのが特徴です。一方、普通のアリ(クロアリなど)の羽アリは前翅が後翅より大きく、胴体にはっきりとしたくびれがあります。翅を1枚残さず落としている場合も、胴体の形状で見分けることができます。
Q. シロアリは冬でも活動しますか?
A. はい、シロアリは冬でも活動を続けます。活動は鈍くなりますが、暖房の効いた建物の床下は冬でも温暖なため、食害が完全に止まるわけではありません。ヤマトシロアリは約6℃以上で活動でき、イエシロアリはやや高い温度を好みますが、いずれも通年で注意が必要です。
Q. シロアリの駆除費用の相場はどのくらいですか?
A. 一般的な木造住宅(30坪程度)のバリア工法で15万〜30万円程度、ベイト工法で15万〜30万円程度が目安です。被害の程度や建物の構造によって費用は変動しますので、必ず複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
Q. ヤマトシロアリとイエシロアリが同時に発生することはありますか?
A. まれですが、同じ建物で両方の被害が同時に確認されるケースもあります。関東以西の温暖な地域では両種が分布しているため、理論上は同時被害の可能性があります。正確な判断には専門業者による調査が不可欠です。
Q. DIYでシロアリ駆除はできますか?
A. ホームセンターでシロアリ用の薬剤が販売されていますが、特にイエシロアリの場合は巣の特定と完全な駆除が素人には難しいため、専門業者への依頼を強くおすすめします。日本しろあり対策協会認定の「しろあり防除施工士」が在籍する業者を選ぶのが安心です。
まとめ
ヤマトシロアリとイエシロアリは見た目や被害の出方、駆除方法まで大きく異なるシロアリです。どちらの被害なのかを把握することが、適切な駆除と再発防止への第一歩になります。
- ヤマトシロアリは湿った木材に限定的に被害を与え、4〜5月に日中飛ぶ
- イエシロアリは水を運ぶ能力があり建物全体に被害が及ぶ。6〜7月の夜に飛ぶ
- 兵蟻の頭の形(長方形=ヤマト、三角形=イエ)で見分けられる
- シロアリの疑いがあれば、早めに専門業者に点検を依頼する
シロアリ被害は早期発見・早期対応が鉄則です。羽アリを見かけたり、床のたわみや木部の空洞音に気づいたりしたら、放置せずすぐに行動しましょう。
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