公園のベンチの裏、自動販売機の下、排水溝のフタの裏側。こうした身近な場所に、毒を持つクモが潜んでいることをご存じでしょうか。「セアカゴケグモ」は特定外来生物に指定されている毒グモで、記事執筆時点で日本の多くの都道府県で生息が確認されています。
この記事では、セアカゴケグモの見分け方、咬まれたときの症状と正しい応急処置、そして日常生活でできる予防対策を詳しく解説します。過度に恐れる必要はありませんが、正しい知識を持っておくことが大切です。

セアカゴケグモとは?基本的な生態と特徴
セアカゴケグモ(学名:Latrodectus hasseltii)はオーストラリア原産のヒメグモ科に属するクモです。日本では記事執筆時点で、大阪府をはじめとする多くの自治体で生息が確認されています。
見た目の特徴
成熟したメスの体長は約0.7〜1cmほどで、全体が光沢のある黒色で、腹部の背面に赤い縦条の模様がある のが最大の見分けポイントです。腹部はまるく膨らんでおり、脚は細長いのが特徴です。
オスはメスよりも小さく、体長3〜5mm程度で体色も地味な茶褐色です。毒を持っているのはメスだけで、オスに咬まれても人体への影響はほとんどありません。
巣を作る場所
セアカゴケグモは日当たりの良い暖かい場所で、地面に近い物陰に不規則な形の巣を作ります。具体的には以下のような場所が多く報告されています。
- 側溝やマンホールのフタの裏
- フェンスの基部や支柱の隙間
- 自動販売機の裏や下
- 公園のベンチの裏側
- プランターやブロック塀の隙間
- エアコン室外機の裏
- 墓石の隙間
いずれも薄暗くて奥が見えにくい場所ばかりです。手を入れる前に照らして確認できるよう、小型のライトを一つ持っておくと安心です。
セアカゴケグモと間違えやすいクモ
日本にはジョロウグモやオオヒメグモなど、似た印象を与えるクモがいます。しかし、「黒くてツヤのある体」に「背中の赤い模様」という組み合わせはセアカゴケグモに特徴的です。判断に迷う場合は、自治体の環境課や保健所に相談しましょう。
セアカゴケグモは攻撃性が低く、自分から人間に向かってくることはほぼありません。素手で掴んだり、巣の近くに手を入れたりしなければ、咬まれるリスクは低いです。
セアカゴケグモに咬まれたときの症状
セアカゴケグモのメスに咬まれた場合、以下のような症状が段階的に現れることがあります。
局所症状
咬まれた瞬間に針で刺されたような鋭い痛みを感じ、咬傷部位が赤く腫れます。時間が経つにつれて痛みが強くなり、咬まれた周辺に痛みが広がることがあります。
全身症状
咬まれてから数時間以内に、以下のような全身症状が現れる場合があります。
- 発汗や発熱
- 吐き気や嘔吐
- 頭痛やめまい
- 筋肉の痛みやけいれん
- 胸部や腹部の痛み
重篤な症状
まれに、血圧の上昇や不整脈、呼吸困難、意識障害などの重篤な症状が起こることがあります。子どもや高齢者、持病のある方は特に注意が必要です。
なお、日本国内ではセアカゴケグモの咬傷による死亡例は報告されていません。オーストラリアでは抗毒血清が開発されており、血清開発後の死亡例もないとされています。

セアカゴケグモに咬まれたときの応急処置
万が一咬まれた場合は、落ち着いて以下の手順で対処してください。
1. 冷静になる
パニックになると心拍数が上がり、毒の循環が早まる可能性があります。まずは深呼吸をして冷静さを保ちましょう。
2. 患部を水で洗い流す
咬まれた部位を流水で丁寧に洗い流します。石鹸を使って傷口周辺を清潔にしましょう。
3. 患部を冷やす
氷嚢や冷たいタオルで患部を冷やし、痛みと腫れを軽減します。直接氷を当てると凍傷のリスクがあるため、布で包んで使用してください。
4. 患部を固定して安静にする
咬まれた部位の少し上(心臓に近い側)を軽く圧迫し、なるべく動かさないようにします。筋肉の動きを抑えることで、毒の拡散を遅らせることが期待できます。
5. 速やかに医療機関を受診する
できるだけ早く医療機関(皮膚科または救急外来)を受診してください。受診時に咬まれた時間、場所、症状の経過を伝えると、適切な処置を受けやすくなります。可能であれば、咬んだクモの写真や死骸を持参しましょう。
咬傷部位を切開して毒を出そうとしたり、口で毒を吸い出そうとしたりしてはいけません。感染のリスクが高まるだけで、効果もありません。
セアカゴケグモの駆除方法
自宅の庭や周辺でセアカゴケグモを見つけた場合の駆除方法を紹介します。
市販の殺虫剤で駆除する
ピレスロイド系の成分を含む家庭用殺虫スプレーが有効です。クモに直接噴射するか、巣の周辺にスプレーすることで駆除できます。
熱湯をかける
殺虫剤を使いたくない場合は、熱湯をかけることでも駆除できます。卵のう(卵を包んだ白い球状の袋)も熱湯で処理してください。卵のうを放置すると、数百匹の幼体が孵化してしまいます。
靴で踏み潰す
セアカゴケグモは動きが遅いため、厚底の靴で踏み潰すことも可能です。ただし、素手で触れるのは絶対に避けてください。
卵のうの処理を忘れずに
セアカゴケグモの卵のうは直径1〜1.5cmの白い球体で、一つの卵のうに数百個の卵が入っています。成虫を駆除しても卵のうが残っていると再び繁殖するため、巣の周辺をよく確認して確実に除去しましょう。
敷地内のあちこちに巣があったり、駆除しても繰り返し見つかったりして自分で対処するのが不安なら、害虫駆除110番に相談する方法もあります。対応できる提携業者を紹介してくれるサービスで、電話は24時間365日・通話無料で受け付けています。クモは料金表にない「その他」の扱いなので、セアカゴケグモに対応できるかは問い合わせのときに確認しましょう。詳しくは公式サイトで確認できます。

セアカゴケグモを寄せつけない予防対策
セアカゴケグモの被害を防ぐには、日頃から以下の予防策を意識することが大切です。
物陰を定期的に清掃する
側溝のフタの裏、プランターの下、エアコン室外機の裏側など、暖かく暗い場所を定期的に掃除しましょう。巣を作られる前に環境を整えることで、生息場所を減らすことができます。
屋外作業は手袋を着用する
庭仕事や側溝の清掃をする際は、軍手やゴム手袋を着用してください。素手でフタの裏側や石の下を触ることは避けましょう。
子どもに注意を促す
公園の遊具やベンチの裏側に手を入れないよう、子どもたちに伝えておくことも大切です。見つけたら触らず、大人に知らせるようルールを決めておきましょう。
自治体の情報を確認する
お住まいの自治体のホームページや広報で、セアカゴケグモの発見情報や注意喚起が出ていないか定期的に確認しましょう。発生が多い地域では、行政による一斉駆除が行われることもあります。




💡 セアカゴケグモが潜みやすい側溝やプランター周辺には、ムカデやゲジゲジも同時に生息していることがあります。ムカデ・ゲジゲジ対策グッズの選び方をこちらの記事で紹介しています。



💡 セアカゴケグモ以外にも、住宅の周辺で注意が必要な害虫は数多くいます。害虫の種類ごとにおすすめの駆除グッズを一覧でまとめていますので、総合的な対策にお役立てください。



💡 庭仕事中に遭遇しやすいゴキブリの対策も、セアカゴケグモ対策と同時に進めておくと安心です。おすすめのゴキブリ駆除グッズをこちらでまとめています。



セアカゴケグモとハイイロゴケグモの違い
セアカゴケグモと同様に注意が必要な毒グモとして「ハイイロゴケグモ」がいます。こちらも特定外来生物に指定されており、日本各地で発見されています。
ハイイロゴケグモはセアカゴケグモと近縁の種で、体色が灰色〜褐色であることが違いです。腹部の模様もセアカゴケグモほど鮮やかな赤ではなく、オレンジ色や黄色がかった模様を持つことが多いです。毒性はセアカゴケグモとほぼ同程度とされています。
どちらのクモも咬まれた場合の対処法は同じで、患部を洗って冷やし、速やかに医療機関を受診します。見つけた場合は素手で触れずに駆除し、自治体に報告しましょう。
セアカゴケグモに関するよくある質問
Q. セアカゴケグモは家の中にも入ってきますか?
基本的に屋外に生息するクモですが、窓や玄関の隙間から室内に入り込むケースもゼロではありません。窓の網戸に穴がないか確認し、ドアの隙間にはすきまテープを貼るなどの対策をしておくと安心です。
Q. 見つけたら自治体に報告すべきですか?
自治体によっては報告を推奨しているところがあります。お住まいの市区町村の環境課や保健所に連絡すれば、対応方法を教えてもらえます。駆除を代行してくれる場合もあります。
Q. セアカゴケグモが活発になる時期はいつですか?
気温が上がる6〜10月頃に活動が活発になり、咬傷の報告もこの時期に集中しています。ただし暖かい地域では冬場でも活動していることがあるため、通年での注意が必要です。
Q. セアカゴケグモの駆除は業者に頼むべきですか?
1〜2匹を見つけた程度であれば、殺虫スプレーや熱湯で自分で駆除できます。ただし、広範囲にわたって複数の巣がある場合や、敷地内で繰り返し発見される場合は、害虫駆除業者に依頼して徹底的な駆除を行ったほうが安心です。特にマンションの共用部分で見つかった場合は、管理組合と連携した対応が必要になることもあります。
まとめ
セアカゴケグモは黒くてツヤのある体に背中の赤い模様が特徴の毒グモで、公園や住宅地の物陰に巣を作ります。咬まれると強い痛みや腫れが生じ、まれに全身症状が出ることもありますが、日本国内での死亡例はありません。
咬まれた場合は患部を洗って冷やし、速やかに医療機関を受診しましょう。予防策としては、屋外作業時の手袋着用、物陰の定期清掃、子どもへの注意喚起が有効です。正しい知識を持って冷静に対処すれば、過度に恐れる必要はありません。
セアカゴケグモは正しい知識さえあれば、過度に恐れる必要のないクモです。屋外作業の際には手袋を着用し、物陰に手を入れる前に目視で確認する習慣を身につけておきましょう。万が一咬まれた場合でも、適切な応急処置と早期の受診で重症化を防ぐことができます。お住まいの地域でセアカゴケグモの発見情報が出ている場合は、自治体の公式サイトで最新の対策情報を確認してください。
参考:大阪市「セアカゴケグモに注意しましょう!」、アース製薬「特定外来生物、セアカゴケグモ」、環境省「セアカゴケグモについて」



