床下から虫が上がってくる、床下点検口を開けたら虫がいた――このような経験をすると、家全体の衛生状態が不安になるものです。
床下は温度変化が少なく湿度が高い環境であるため、さまざまな虫にとって快適な生息場所になります。日本の木造住宅の床下には数十種類以上の虫が生息していると言われており、その中には建物に害をもたらすものと、特に害のないものが混在しています。
この記事では、床下でよく見られる虫の種類を特徴別に整理し、それぞれに応じた具体的な対策方法を解説します。正しい知識があれば、過度に恐れる必要はありません。

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シロアリ(建物に深刻な害を及ぼす)
床下の虫として最も注意すべきはシロアリです。木材を食害し、建物の構造材を内部からボロボロにする最も危険度の高い害虫です。
特徴と見分け方:
- 体長5〜7mm程度の白〜乳白色の虫(働きアリ)
- 光を嫌い、常に暗い場所で活動する
- 基礎や束石の表面に蟻道(土のトンネル)を作る
- 木材を叩くと空洞音がする場合は食害が進行している証拠
対策:発見した場合は速やかにシロアリ駆除の専門業者に依頼してください。市販の殺虫スプレーで表面的に駆除しても巣は残り、被害が拡大します。予防として5年ごとの防蟻処理が推奨されています。
ゴキブリ(衛生害虫)
床下はゴキブリにとって理想的な住環境です。暗く、暖かく、湿気があり、外敵がいない空間だからです。特にクロゴキブリやヤマトゴキブリは床下を好んで生息し、配管の隙間や通気口から室内に侵入します。
特徴と見分け方:
- クロゴキブリ:体長30〜40mm、黒褐色で光沢がある
- ヤマトゴキブリ:体長25〜35mm、やや茶褐色
- 床下に卵鞘(らんしょう)が付着していることも
対策:床下への毒餌剤(ベイト剤)の設置が効果的です。燻煙剤を床下に使用する方法もあります。侵入経路となる配管周りの隙間をコーキングで塞ぐことも重要です。
ムカデ(咬傷による健康被害)
ムカデは湿った暗い場所を好み、床下を拠点にして夜間に室内へ侵入するケースが多い害虫です。咬まれると激しい痛みと腫れが生じ、アレルギー体質の方は重症化する可能性もあります。
特徴と見分け方:
- トビズムカデ:体長8〜15cm、赤褐色の頭部に黄色い脚
- アオズムカデ:体長8〜10cm、青みがかった体色
- 夜行性で、夜間に室内で遭遇することが多い
対策:床下への粒剤タイプの殺虫剤散布と、建物周囲への忌避剤散布の二段構えが有効です。ムカデのエサとなるゴキブリやワラジムシを減らすことも間接的な対策になります。

ヤスデ(不快害虫)
ヤスデは直接的な健康被害は少ないものの、大量発生すると見た目の不快感が大きく、潰すと悪臭を放つ厄介な虫です。梅雨時期や秋の長雨の後に床下から室内に大量発生することがあります。
特徴と見分け方:
- 体長2〜4cm、黒褐色で丸みのある胴体
- 脚の数が非常に多い(ムカデより短い脚が密集)
- 触れると丸まる習性がある(ムカデは攻撃してくる)
- 咬むことはなく、人体への害はほぼない
対策:床下の湿度管理が最も効果的です。防湿シートの敷設や換気改善で床下の湿度を下げると発生が抑えられます。建物の基礎周囲に粒剤タイプの殺虫剤を帯状に散布する方法も有効です。
ダンゴムシ・ワラジムシ(不快害虫)
いずれも甲殻類の仲間で、湿った場所に生息します。建物に害を与えることはありませんが、大量に発生すると不快に感じる方が多いです。
対策:湿度管理が基本です。床下の通気を改善し、落ち葉や腐葉土など有機物を基礎周りに放置しないことで発生を抑えられます。
チャタテムシ(カビ食性の害虫)
体長1〜2mmの極小の虫で、カビを食べて繁殖します。床下にカビが発生している場合に大量に見られることがあります。直接的な害は少ないものの、ダニのエサになったりアレルゲンとなったりする可能性があります。
対策:カビの発生源を断つことが根本解決になります。床下の湿度管理とカビの除去が必要です。
クモ類(益虫的側面あり)
床下にはさまざまなクモが生息していますが、多くは他の害虫を捕食する益虫的な存在です。ただしセアカゴケグモなど毒を持つ種類が生息する地域では注意が必要です。
床下の虫は大きく「建物に害を与えるもの(シロアリ)」「人体に害を与えるもの(ムカデ・ゴキブリ)」「不快だが害は少ないもの(ヤスデ・ダンゴムシ)」の3カテゴリに分けて考えると対策の優先順位がつけやすくなります。
床下に虫が発生する原因
湿気(最大の原因)
床下の虫の発生原因として最も大きいのが湿気です。以下の要因で床下の湿度が高くなることがあります。
- 地面からの湿気の上昇(防湿シートが敷かれていない場合)
- 通気口の目詰まりや不足による換気不良
- 配管からの水漏れ
- 基礎周辺の排水不良(雨水が溜まる)
- 隣家との間隔が狭く風通しが悪い
有機物の存在
床下に木くず・落ち葉・紙類などの有機物が残されていると、虫のエサや住処になります。建築時の木くずや端材が放置されているケースは意外に多いです。
侵入経路の存在
通気口に網がない、基礎にクラック(ひび割れ)がある、配管貫通部に隙間があるなど、外部から虫が侵入しやすい構造になっている場合も発生の原因となります。

床下の虫対策【具体的な方法】
対策1:防湿シートの敷設
地面からの湿気を遮断する防湿シート(ポリエチレンフィルム)を床下全面に敷設する方法です。最も基本的かつ効果的な湿気対策であり、多くの害虫の発生を抑制できます。
費用は30坪で10万〜20万円程度が相場です。専門業者に依頼するのが確実ですが、床下に潜れるスペースがあればDIYも可能です。
対策2:床下換気の改善
床下の通気口が家具や植栽で塞がれていないか確認してください。通気口の前に物を置くだけで風の流れが滞り、湿度が上昇します。
通気口だけでは換気が不十分な場合は、床下換気扇の設置が有効です。電気式の換気扇を2〜4台設置することで、床下に強制的な空気の流れを作れます。費用は工事費込みで5万〜15万円程度です。
対策3:殺虫剤の散布
すでに虫が発生している場合は、床下用の殺虫剤を散布して数を減らしたうえで、環境改善を行います。
- 粒剤タイプ:地面にまくだけで一定期間効果が持続する。ムカデ・ヤスデ向き。
- 液剤タイプ:噴霧器で床下全面に散布する。即効性が高い。
- 燻煙剤:煙で床下全体に薬剤を行き渡らせる。ゴキブリ・チャタテムシ向き。
対策4:侵入経路の封鎖
虫が外部から床下に入る経路を物理的に塞ぎます。
- 通気口に細かいメッシュ(ステンレス製)を取り付ける
- 基礎のクラックをモルタルで補修する
- 配管貫通部の隙間をコーキング材で埋める
- 床下と室内をつなぐ隙間(配管周り等)をパテで密封する
対策5:建物周囲の環境整備
- 基礎周りの落ち葉や雑草を定期的に除去する
- 基礎から30cm以内に植栽を置かない
- 雨樋の排水が基礎周りに流れないようにする
- 基礎周囲に砂利を敷いて水はけを良くする
床下に潜って作業する場合は、密閉空間であることに注意してください。換気が不十分な状態で殺虫剤を使用すると中毒の恐れがあります。必ず通気口を開放し、防毒マスクを着用して作業してください。
プロに依頼すべき状況
以下のようなケースでは、自力での対処が困難または危険なため専門業者への依頼を検討してください。
- シロアリの蟻道や食害痕を発見した
- 床下のスペースが狭く自分では潜れない
- ムカデが繰り返し室内に侵入してくる
- カビが広範囲に発生している
- 配管からの水漏れが疑われる
- 原因不明の虫が大量発生している
床下の総合的な害虫対策を業者に依頼する場合の費用は、調査+施工で5万〜20万円程度が相場です。シロアリ対策が必要な場合は別途15万〜30万円がかかります。

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Q. 床下から室内に虫が上がってくるのを防ぐ方法はありますか?
A. 床下と室内をつなぐ経路(キッチンや浴室の配管貫通部、和室の畳の隙間、床下収納の蓋周り)をパテやコーキングで密封するのが効果的です。完全に塞ぐのが難しい場所には、隙間テープや防虫剤を設置しましょう。
Q. 床下に調湿剤を撒くのは効果がありますか?
A. 炭やゼオライトなどの調湿剤は湿度を調節する効果がありますが、床下全体の湿度を大幅に下げるには相当量が必要です。防湿シートや換気扇と併用して補助的に使うのが現実的です。調湿剤だけで虫の発生を完全に防ぐのは難しいとお考えください。
Q. 新築でも床下に虫が発生することはありますか?
A. はい、発生する可能性はあります。建築時の木くずが残っていたり、周囲の環境から虫が侵入したりするケースがあります。新築でも引き渡し後1年以内に一度床下を点検し、木くずの除去や通気口のチェックを行うと安心です。
Q. 床下の虫対策に最適な季節はいつですか?
A. 梅雨前の4〜5月が最適です。湿度が上がる前に防湿対策や殺虫剤散布を済ませておくと、梅雨〜夏にかけての虫の発生を効果的に抑えられます。秋口(9〜10月)に再度チェック・追加散布を行うとさらに万全です。
Q. 床下に虫がいること自体は問題ですか?それとも自然なことですか?
A. 少数の虫(クモ・ダンゴムシ等)が生息していること自体は自然環境として正常です。問題視すべきなのは、シロアリのように建物に害を与える虫がいる場合、ゴキブリ・ムカデなど室内に侵入して害を及ぼす虫が多い場合、または何らかの虫が異常に大量発生している場合です。
まとめ
床下に発生する虫への対策は、まず「何の虫か」を特定し、「害の程度」に応じて対処の優先順位をつけることから始まります。シロアリは建物に深刻な被害をもたらすため最優先で専門業者に相談し、ムカデやゴキブリは薬剤と環境改善の両面から対策します。
すべての床下の虫に共通する根本的な対策は湿度管理です。防湿シートの敷設・換気の改善・基礎周りの水はけ確保を行うことで、多くの虫が住みにくい環境を作れます。定期的な床下点検を習慣にして、問題の早期発見に努めてください。
参考:大阪市 – 衛生害虫に関する相談窓口(www.city.osaka.lg.jp・サイト終了)
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