庭のツバキやサザンカに黄色っぽい毛虫が密集しているのを見つけたら、それはチャドクガの幼虫である可能性が高いです。チャドクガは日本で最も被害報告の多い毒蛾のひとつで、幼虫・成虫・卵塊・脱皮殻のすべてに毒針毛が付着しているという厄介な特徴を持っています。
うっかり触れると数時間後に激しいかゆみと赤い発疹が広がり、完治まで2〜3週間かかることも珍しくありません。しかも風に乗って飛散するため、直接触れていなくても被害に遭うことがあります。
この記事では、チャドクガを安全かつ確実に駆除するための正しい手順と、作業中に絶対やってはいけないことを詳しく解説します。

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発生時期と生態
チャドクガは年2回発生します。第1化は5月〜6月、第2化は8月〜9月に幼虫が見られます。卵は秋に葉の裏に産み付けられ、翌春に孵化するか、夏に産卵されて秋に孵化するサイクルです。
幼虫は孵化直後から集団で行動し、1枚の葉に数十匹が整列して食害する特徴的な姿が見られます。成長するにつれて分散し、終齢幼虫(体長約25mm)になると単独で行動するようになります。
発生する樹木
チャドクガが発生するのはツバキ科の樹木のみです。具体的には以下の種類です。
- ツバキ
- サザンカ
- チャノキ(茶の木)
- ヒメシャラ
- ナツツバキ
逆に言えば、庭にツバキ科の植物がなければチャドクガが発生することはありません。
毒針毛の恐ろしさ
チャドクガの毒針毛は長さ0.1mm程度の微細な針で、1匹の幼虫に約50万本もあると言われています。風速1m程度の微風でも容易に飛散し、洗濯物や衣服に付着して室内に持ち込まれるケースも少なくありません。
皮膚に刺さると数時間後に赤い丘疹(ブツブツ)が現れ、強烈なかゆみが1〜2週間続きます。掻くと毒針毛が広がって症状が拡大するため、触らないことが重要です。
チャドクガの毒針毛は幼虫だけでなく、成虫(蛾)・卵塊の表面・脱皮殻・蛹の繭にも付着しています。チャドクガに関係するものにはすべて「毒あり」と認識してください。
チャドクガの駆除手順
STEP1:装備を整える
チャドクガの駆除で最も重要なのは、作業者自身の安全確保です。以下の装備を必ず着用してください。
- 長袖・長ズボン(首元もタオルで覆う)
- ゴム手袋(布手袋は毒針毛が貫通するため不可)
- 保護ゴーグル
- 防塵マスク
- 帽子またはフード付きのレインコート
レインコートを上から着用すると、全身を覆えるうえ使い捨てにもできるため便利です。作業着は作業後すぐに50度以上のお湯で洗濯します。
STEP2:風のない日を選ぶ
無風または微風の日の早朝が作業に最適なタイミングです。風がある日に作業すると、毒針毛が風下に飛散して近隣にまで被害が及ぶ可能性があります。
また、雨上がりの日は毒針毛が水分で重くなって飛散しにくいため、比較的安全に作業できます。
STEP3:殺虫剤で動きを止める
生きた状態で触ると暴れて毒針毛が飛散するため、まず殺虫剤で確実に動きを止めます。
- チャドクガ専用スプレー(固着剤入りで毒針毛の飛散を防ぐタイプがベスト)
- 一般的な毛虫用殺虫スプレーでも可
- 50cm以上離れた位置から噴射する
固着剤入りのスプレーは、毛虫を殺虫すると同時に毒針毛を固めて飛散を防ぐ効果があるため、チャドクガ駆除には特におすすめです。

STEP4:枝ごと切り落として密封処分
殺虫剤で毛虫が動かなくなったのを確認したら、毛虫がいる部分の枝を剪定ばさみで切り落とします。このとき枝の下にビニール袋を広げておき、直接袋の中に落とすようにすると安全です。
切り落とした枝・毛虫・周辺の落ち葉をすべてビニール袋に入れ、口をしっかり縛って密封します。燃えるゴミとして処分できますが、自治体によっては「害虫駆除に伴うゴミ」として特別な出し方が指定されている場合もあるため確認してください。
STEP5:周辺の除染
毛虫がいた周辺の葉や地面にも毒針毛が飛散している可能性があります。駆除後は以下の除染作業を行いましょう。
- 周辺の葉を水で洗い流す(ホースの水流で上から下へ)
- 地面に落ちた毒針毛は水で流すか、土をかぶせる
- 近くの洗濯物は50度以上のお湯で再洗濯する
絶対にやってはいけないこと
高圧洗浄機で吹き飛ばす
高圧洗浄機を使うと毒針毛が水しぶきとともに広範囲に飛散し、近隣住民にまで被害が及ぶ最悪のケースに発展します。チャドクガの駆除に高圧洗浄機は絶対に使わないでください。
素手で触る・払い落とす
集団でいる毛虫を棒で払い落とそうとすると、刺激を受けた毛虫が体を振って毒針毛を大量に放出します。必ず殺虫剤で動きを止めてから処理してください。
掃除機で吸い込む
掃除機の排気口から毒針毛が室内に拡散するため、絶対に使用しないでください。同様に、ブロワー(送風機)での吹き飛ばしもNGです。
放置する
「自然にいなくなるだろう」と放置すると、蛹化して次世代が発生し、年々個体数が増えていきます。また、脱皮殻や蛹の繭が樹木に残り続け、長期間にわたって毒針毛による被害リスクが持続します。
チャドクガ駆除の鉄則は「飛散させない」こと。殺虫→固着→切除→密封の手順を守れば、安全に処理できます。
チャドクガの予防対策
卵塊を見つけて除去する
最も確実な予防法は、卵の段階で除去することです。チャドクガの卵塊は葉の裏に黄褐色のフェルト状の塊として産み付けられ、1つの卵塊に80〜120個の卵が含まれています。
冬(12月〜3月)にツバキ科の樹木の葉裏を点検し、見つけた卵塊は葉ごと切り取って処分します。この作業だけで翌年の発生を大幅に減らせます。ただし卵塊にも毒針毛が付着しているため、ゴム手袋の着用は必須です。
予防的な薬剤散布
毎年チャドクガが発生する樹木には、幼虫の発生前(4月中旬・7月下旬)に予防散布を行うと効果的です。オルトラン水和剤やスミチオン乳剤を規定濃度に希釈し、葉の裏まで丁寧に散布します。
ツバキ科の樹木を減らす・管理する
毎年深刻な被害が出る場合は、思い切ってツバキ科の樹木を伐採するのもひとつの選択肢です。残す場合でも、定期的な剪定で樹形をコンパクトに保ち、目視チェックしやすい状態を維持しましょう。

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害虫駆除110番の公式サイトはこちらチャドクガに刺された場合の応急処置
正しい応急処置の手順
- 患部を絶対に掻かない・こすらない
- セロハンテープやガムテープを患部に貼って剥がし、刺さった毒針毛を除去する(これを数回繰り返す)
- 流水で患部を洗い流す
- 抗ヒスタミン成分入りのステロイド軟膏を塗布する
- 症状が広範囲または重い場合は皮膚科を受診する
市販薬では「ムヒアルファEX」や「ウナコーワエースG」などのステロイド配合外用薬が適しています。かゆみが強い場合は内服の抗ヒスタミン薬も併用すると楽になります。
やってはいけない応急処置
- 爪で掻く(毒針毛が皮膚の奥に押し込まれる)
- お湯で温める(血行が良くなりかゆみが悪化する)
- 患部をタオルでこする(毒針毛が広がる)
業者に依頼する場合の費用目安
チャドクガの駆除を業者に依頼する場合の費用は、樹木のサイズや本数によって変わります。
- 低木1本(2m以下):5,000円〜10,000円
- 中木1本(2〜4m):10,000円〜20,000円
- 高木1本(4m以上):20,000円〜40,000円
- 年間管理契約:15,000円〜30,000円/年(予防散布2回込み)
高所作業が必要な場合や、広範囲に発生している場合は追加費用がかかることがあります。複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。
Q&Aコーナー
Q. チャドクガの毒針毛はいつまで残りますか?
A. 毒針毛は物理的に分解されにくく、樹木上や地面に落ちた脱皮殻・死骸に数ヶ月〜1年以上残存することがあります。駆除後も該当箇所付近では注意が必要です。
Q. 市販のスプレーだけで十分ですか?
A. 少数の若齢幼虫であれば市販スプレーで対処可能です。ただし大量発生時や終齢幼虫(大きく育った状態)には薬剤の効きが弱くなるため、業者への依頼が安全です。
Q. チャドクガは家の中にも入ってきますか?
A. 成虫(蛾)は光に誘引される性質があり、夜間に室内に飛来することがあります。成虫にも毒鱗粉が付着しているため、見つけた場合は殺虫スプレーで処理し、素手で触らないようにしてください。
Q. ペットがチャドクガに触れた場合はどうすればいい?
A. ペットの被毛に毒針毛が付着している可能性があるため、ゴム手袋をしてぬるま湯で丁寧にシャンプーしてください。口元を舐めたり目をこすったりしている場合は、速やかに動物病院を受診してください。
Q. チャドクガとアメリカシロヒトリの見分け方は?
A. チャドクガはツバキ科の樹木にのみ発生し、体色は黄褐色で黒い斑点があります。アメリカシロヒトリは白っぽい長毛で覆われ、さまざまな樹種に発生します。また、アメリカシロヒトリは巣網(白い糸のテント)を作りますがチャドクガは作りません。
まとめ
チャドクガの駆除は、一般的な毛虫対策以上に「毒針毛を飛散させない」という点に最大限の注意を払う必要があります。殺虫剤で動きを止め、枝ごと切り取って密封処分するのが基本手順です。
駆除以上に重要なのが予防です。冬場の卵塊除去と春・夏の予防散布を習慣化すれば、大量発生を未然に防げます。チャドクガの被害は適切な知識と対策で確実に減らせるため、この記事の内容を参考に対策を講じてみてください。
参考:東京都健康安全研究センター – チャドクガについて(www.tokyo-eiken.go.jp・サイト終了)
参考:世田谷区 – チャドクガにご注意ください(www.city.setagaya.lg.jp・サイト終了)
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