庭木の葉に毛虫がびっしり付いている光景を見つけたときの不快感は、なかなかのものです。見た目の問題だけでなく、種類によっては触れるだけで激しいかゆみや炎症を引き起こすため、放置しておくわけにはいきません。
毛虫は早い段階で駆除すれば被害を最小限に抑えられますが、対処を誤ると毒針毛(どくしんもう)が飛散して二次被害を引き起こすリスクがあります。安全かつ確実に駆除するためには、正しい知識と手順が不可欠です。
この記事では、庭木に発生する毛虫の種類を押さえたうえで、状況に応じた駆除方法と再発防止策を詳しく解説します。

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チャドクガ(有毒)
ツバキ・サザンカ・チャノキなどのツバキ科の樹木に発生します。毒針毛を持ち、触れただけで強いかゆみと発疹が出る非常に危険な毛虫です。黄褐色の体に黒い斑点模様が特徴で、集団で葉の裏に密集しています。
発生時期は年2回(5〜6月と8〜9月)で、1回の産卵で100〜200匹が孵化するため、気づいたときには大量発生していることが多い種類です。
アメリカシロヒトリ(無毒)
サクラ・プラタナス・ヤナギなど100種以上の樹木に発生する外来種です。白い長毛に覆われていますが毒はなく、触っても皮膚症状は出ません。ただし大量発生すると庭木を丸坊主にしてしまうため、早めの駆除が必要です。
幼虫期には糸を張って巣網(テント状の巣)を作る習性があり、発見の目安になります。
マイマイガ(幼齢期は有毒)
広葉樹を中心にほぼあらゆる樹木を食害する大型の毛虫です。若齢幼虫は毒針毛を持ちますが、成長するにつれて毒性は弱くなります。数年おきに大量発生する周期性があり、発生年には街路樹や庭木に甚大な被害をもたらします。
イラガ(有毒)
カキ・サクラ・ウメなどの果樹に多く発生します。緑色で短いトゲ状の突起が特徴で、触れると電気が走ったような激痛が生じることから「電気虫」とも呼ばれます。痛みは一時的ですが非常に強烈です。
毛虫の種類が分からない場合は「有毒」と想定して対応してください。素手で触れるのは絶対に避け、長袖・ゴム手袋・ゴーグルを着用しましょう。
毛虫の駆除方法【状況別】
方法1:殺虫スプレーによる駆除(少数発生時)
毛虫が少数で目視できる範囲にいる場合は、市販の毛虫用殺虫スプレーが手軽です。
- 風上から噴射し、風下に立たないようにする
- チャドクガなど有毒種は、死骸にも毒針毛が残るため直接触らない
- 駆除後は枝ごと切り落とし、ビニール袋に密封して処分する
- 噴射距離が2〜3mあるジェットタイプがおすすめ
スプレー後にすぐ落ちてこない場合がありますが、薬剤が効いていれば翌日には落下しています。高所の毛虫にはロングノズルタイプの製品を選びましょう。
方法2:薬剤散布による駆除(大量発生時)
大量発生している場合は、希釈タイプの薬剤を噴霧器で散布する方法が効率的です。
代表的な薬剤としては以下があります。
- オルトラン水和剤:浸透移行性があり、葉に散布すると樹木全体に薬効が行き渡る
- スミチオン乳剤:即効性が高く、多くの毛虫に有効
- トレボン乳剤:残効性が長く、予防的な使用にも向いている
- BT剤(バチルスチューリンゲンシス):天然由来の微生物農薬で、人体やペットへの安全性が高い
散布のタイミングは幼虫が若齢のうち(孵化後1〜2週間以内)が最も効果的です。成長した毛虫は薬剤への耐性が上がるため、早期発見・早期対応がカギになります。

方法3:物理的除去(卵塊・巣網の段階)
毛虫が孵化する前の卵塊の段階で除去できれば、最も安全かつ確実です。チャドクガの卵塊は葉の裏に黄褐色のフェルト状の塊として付いています。
また、アメリカシロヒトリの場合は幼齢期に巣網(テント状の白い巣)を作るため、この段階で枝ごと切除すれば一網打尽にできます。切った枝はビニール袋に入れて密封し、燃えるゴミとして処分します。
方法4:高圧洗浄機で洗い流す(無毒種のみ)
アメリカシロヒトリなど毒のない毛虫に限り、高圧洗浄機で木から洗い流す方法も使えます。ただし有毒種には絶対に使わないでください。毒針毛が水しぶきとともに広範囲に飛散し、被害が拡大するおそれがあります。
毛虫駆除時の安全対策
必須の装備
毛虫の駆除作業では、以下の装備を必ず着用してください。
- 長袖・長ズボン(肌の露出をゼロにする)
- ゴム手袋(軍手は毒針毛が通過するためNG)
- ゴーグルまたは眼鏡(目に毒針毛が入ると角膜炎を起こす)
- マスク(吸い込み防止)
- 帽子またはフード(頭部への落下対策)
作業後は着用していた衣類をすぐに洗濯し、体もシャワーで洗い流しましょう。毒針毛は衣類に付着して残ることがあります。
駆除後の片付け
駆除した毛虫や切り落とした枝は、必ずビニール袋に入れて密封してから処分します。地面に落ちた死骸もそのままにせず回収してください。チャドクガの場合、死骸や脱皮殻にも毒針毛が残存しているため、数週間後でも触れると被害が出ます。
毛虫の再発を防ぐ予防策
定期的な剪定で風通しを良くする
毛虫は風通しの悪い密集した枝葉を好みます。年1〜2回の剪定で適度に枝を間引き、日当たりと風通しを確保しましょう。特にチャドクガが好むツバキ・サザンカは内側の枝を適度に抜くことが重要です。
予防散布を行う
毛虫が発生しやすい時期の少し前(4月・7月頃)に予防的に薬剤散布を行うと、発生を大幅に抑制できます。オルトランDX粒剤を根元にまいておく方法は、手軽で継続しやすい予防法です。
天敵を活用する
庭に野鳥が来る環境を整えると、毛虫の天敵として自然に駆除してくれます。バードバスや巣箱を設置してシジュウカラなどの小鳥を呼び込む方法は、薬剤を使いたくない方におすすめです。

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以下のような状況では、無理に自分で対処せず専門業者に依頼することをおすすめします。
- 高所(2m以上)の樹木に大量発生している
- チャドクガが広範囲に発生しており安全に作業できない
- 何度駆除しても再発を繰り返す
- 庭全体の樹木に被害が及んでいる
業者の費用は樹木の本数や高さ、毛虫の種類によって異なりますが、一般的な庭木1〜2本で8,000円〜20,000円程度が相場です。複数本まとめて依頼すると割安になるケースが多いです。
Q&Aコーナー
Q. 毛虫に刺されたらどうすればいいですか?
A. まず患部をこすらず、セロハンテープを貼って剥がすことで刺さった毒針毛を除去します。その後、流水で洗い流し、抗ヒスタミン薬入りのステロイド軟膏を塗布してください。症状がひどい場合は皮膚科を受診しましょう。
Q. 毛虫が発生しにくい庭木はありますか?
A. 針葉樹(マツ・スギ・ヒノキ)は毛虫の被害を受けにくい傾向にあります。また、オリーブやローズマリーなどのハーブ系の植物も虫がつきにくいです。逆にサクラ・ウメ・ツバキは毛虫がつきやすい樹種です。
Q. 無農薬で毛虫を駆除する方法はありますか?
A. BT剤は微生物由来で有機農業でも使用が認められている安全性の高い薬剤です。そのほか、木酢液の希釈スプレーや、ニーム(インドセンダン)由来のオイルスプレーも忌避効果があります。ただし有毒種の大量発生時は安全を優先し、適切な薬剤を使用してください。
Q. 毛虫の発生を完全に防ぐことはできますか?
A. 庭木がある以上、完全にゼロにすることは困難です。しかし定期的な剪定・予防散布・目視チェックを組み合わせることで、大量発生を防ぎ被害を最小限に抑えることは十分可能です。特に卵塊の段階で発見・除去できれば、発生自体を未然に防げます。
Q. 洗濯物に毛虫がついていた場合はどうすればいい?
A. 毛虫本体を箸やガムテープで除去した後、念のためその洗濯物だけ再度洗濯してください。チャドクガの毒針毛は目に見えないほど微細なため、衣類に残っていると着用時にかぶれる可能性があります。50度以上のお湯で洗うと毒性が弱まります。
まとめ
庭木の毛虫駆除は、種類の特定→適切な方法の選択→安全装備の着用という手順で行うことが重要です。特にチャドクガやイラガなどの有毒種は、毒針毛が飛散しないよう慎重に作業する必要があります。
大量発生する前の若齢幼虫の段階で対処できるのが理想的ですので、毛虫が発生しやすい時期には庭木の葉裏を定期的にチェックする習慣をつけてみてください。自力での対応が難しい場合は、早めに専門業者へ相談することで被害の拡大を防げます。
参考:環境省 – 外来生物法について(www.env.go.jp・サイト終了)
参考:農研機構 – 病害虫情報
参考:横浜市 – 害虫についての相談(www.city.yokohama.lg.jp・サイト終了)
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